港区の不動産買取業者が教える 共有持分の権利関係とは
2022/04/21
本日は、共有持分の不動産を所有する上で、知っておきたい権利関係について解説します。
・権利の内容
不動産の所有権を持つ人には、使用収益する権利や、変更(処分)行為・管理行為・保存行為をする権利があります。
変更(処分)行為と、管理行為・保存行為の具体例を記載します。
【変更(処分)行為】
・売却
・贈与
・長期賃貸借
・増築、改築
・大規模な修繕
・抵当権の設定
・解体
・建て替え
・分筆・合筆
【管理行為】
・短期賃貸借契約締結
・共有物の使用方法決定
・賃料の減額
・賃貸借契約解除
【保存行為】
・修繕
・無権利者に明途請求
・抹消登記請求
・法定相続による所有権移転登記
・共有者がお互いに権利を制限している
不動産を所有している人は上記の権利を持っていますが、共有持分権者はこれらを単独では決行できない場合があります。
例えば「不動産の全部を売却したい」と考えたとき、共有者が反対であれば実行できません。
各共有者がお互いに権利を制限し合っている状態だと言えます。
重大な事項であればあるほど制限が厳しくなります。
–変更(処分)行為は共有者全員の合意が必要
不動産を物理的に変えてしまう行為や法律的に処分する行為である「変更(処分)行為」は重大なため、共有者全員の合意がなければ成立しません。
共有者が複数人おり、大多数が賛成している場合でも1人が反対の状態であれば実行することができないのです。
–管理行為は共有者の持分価格の過半数の合意が必要
民法第252条で「共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する」と定められている通り、「管理行為」は共有持分の価格の過半数が合意すれば成立します。
共有持分権者が3人おり、3分の1ずつの持分だった場合、3人のうち2人が合意すれば決行することができます。
-保存行為は各共有者が単独で判断できる
他の共有者が不利益にならないことを前提として、共有物の物理的現状を維持する「保存行為」は、他の共有者の合意なしで行うことができます。
民法でも「各共有者が保存行為をすることができる」とされています。
このように「変更(処分)行為」と「管理行為」、「保存行為」は民法で決まっており、共有持分権者それぞれに権利がある反面、合意が得られなければ制限されることもあります。
次回は共有持分にかかる費用を解説します。