港区の不動産買取業者が教える 再建築不可の物件のリフォームはどこまでできる?
2022/05/17
現在建っている家を解体してしまうと再度建てることができない「再建築不可の物件」は、リフォームであれば行うことが可能です。
他の不動産と比べて格安で入手できるため、あえて購入する方もいらっしゃいます。
しかし、「リフォーム」とはどこまで行っていいのでしょうか?外壁を取り壊したり柱を修繕したりすることは「リフォーム」の範囲なのでしょうか?
今回はどの程度のリフォームまでであれば再建築不可物件でも許容範囲内なのか、また再建築不可の物件でリフォームをするときの注意点などをお伝えします。
再建築不可の物件のリフォームはどこまでできるのか?
再建築不可の物件のリフォームは、どこまで許容範囲内なのでしょうか?
・建築確認が必要ない範囲であればOK
再建築不可の物件は、建築確認が必要ない範囲であればリフォームをすることができます。建築確認が必要かどうかは建物の種類によって異なります。
建築基準法第六条で、建築物は第一号から第四号までに分類されており、第一号から第三号は「大規模な修繕」や「大規模な模様替え」には申請が必要とされています。
–建築基準法第六条
建築基準法第六条において「建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。」と定められています。
つまり、第四号に該当する建築物であれば、「大規模な修繕」または「大規模な模様替え」をする際に建築確認の申請をする必要はないということです。
–第一号から第四号の定義
建築基準法に定められている建築物の第一号から第四号とは、下記の通りです。
- 第一号建築物:特殊建築物(公共施設や病院・店舗などの大型建物)で床面積が100㎡を超えるもの
- 第二号建築物:木造3階建て以上、または延床面積が500㎡を超える、高さが13mもしくは軒の高さが9mを超えるもの
- 第三号建築物:木造以外の2階建て以上、または延べ面積が200㎡を超えるもの
- 第四号建築物:第一号から第三号以外の建築物のほか、都市計画法や景観法で指定された地域内の建築物
つまり、延べ面積500㎡以下で2階建て以下の木造住宅、または、延べ面積200㎡以下で1階の鉄骨住宅であれば第四号建築物となります。(プレハブやコンテナなども同様です。)
再建築不可の物件の場合、ほとんどが延べ面積500㎡以下で2階建て以下の木造住宅であるため、第四号建築物に該当するでしょう。
そのため再建築不可の物件は、「大規模な修繕」や「大規模な模様替え」を行う際に建築確認をせずに実行できる、というわけです。
・「大規模な修繕」「大規模な模様替え」とは?
再建築不可の物件は、大規模な修繕や大規模な模様替えができるとお伝えしましたが、「大規模な修繕」「大規模な模様替え」の定義とは何でしょうか?
–建築基準法における「大規模な修繕」「大規模な模様替え」の定義
建築基準法において、「建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕・模様替え」と定義されています。
–建築物の主要構造部とは?
壁や柱・床・梁・屋根又は階段を「建築物の主要構造部」と言います。建築物の構造上重要ではない間仕切壁・間柱・附け柱・揚げ床・最下階の床・廻り舞台の床・小ばり・ひさし・局部的な小階段・屋外階段・その他これらに類する建築物の部分は除きます。
–「大規模」の定義とは?
大規模とは「過半を超えた」場合のことを指します。例えば、屋根であれば屋根面積の半分以上、柱や梁であれば建築全体の総本数の半分を超えた際に「大規模」となります。
–修繕と模様替えの違い
次に修繕と模様替えの違いについて説明します。
–修繕とは?
修繕とは、経年劣化により構造上の性能や品質が劣化した部分を、同じ位置におおむね同じ形状・寸法・材料のものと取り換える行為のことを言います。
例えば、剥がれた外壁を同じ材料で張り直す場合は「修繕」となります。
–模様替えとは?
模様替えとは、建築物の構造・規模・機能を損なわない範囲で、既存のものと異なる材料や仕様などに取り替えることを言います。
例えば、板張りの外壁をサイディング張りにする場合は材料が異なるため「模様替え」となります。
–「大規模な修繕」「大規模な模様替え」とは
「大規模な修繕」「大規模な模様替え」とは、壁や柱・床・梁・屋根又は階段など一種以上の箇所を半分以上において修繕(模様替え)することを指します。
ちなみに床面積を増やして建物を広くするリフォームは「増築」となり、修繕や模様替えとは異なります。
・増築は建築確認が必要
床面積が広くなる増築は注意が必要です。建築基準法では床面積が増えるリフォームは、原則として建築確認が必要です。平屋(1階建て)を2階建てや3階建てにすることも床面積が増えるため「増築」になります。
しかし、防火地域・準防火地域以外の物件であれば、10㎡を超えない範囲での増築は可能です。
・再建築不可物件のリフォームはどこまでならOK?
「水回りの設備だけを新しいものに交換する」や「外壁だけを修繕する」というリフォームはもちろん、柱と梁だけを残して総取り替えをする、いわゆるスケルトンリフォーム(フルリフォーム)まで行うことができます。
住居の内装や設備を解体したり外壁を取り壊したりするため大掛かりではありますが、リフォームの自由度が高くなるため、限りなく新築に近い状態にすることができるでしょう。
次回はリフォームするときの注意点についてお伝えします。