港区の不動産買取業者が教える 空き家所有で発生するリスクについて
2022/07/02
近年の日本で問題視されている社会的課題のひとつとして「空き家問題」が挙げられます。空き家問題とは居住者不在の状態の空き家が有効活用されず、そのまま放置されることを指します。
遺産相続などで戸建て物件などを相続したものの、有効活用の仕方がわからずに困っている方も多いのではないでしょうか。本稿では、そのような方に向けて空き家放置で発生するリスクや空き家問題の解決方法について解説します。
日本で増えている空き家問題
昨今の日本では空き家が増加傾向にあります。経済産業省統計局の「住宅・土地統計調査(※1)」によると、2018年の空き家率は13.6%と過去最高の数値となりました。
経済産業省の調査では「居住世帯のいない住宅」を空き家と定義し、以下のように大別されています。
- 二次的住宅…別荘などの、たまに利用されるが普段は人が住んでいない住宅
- 売却用の住宅…売却のために一時的に空き家になっている住宅
- 賃貸用の住宅…賃貸利用のために一時的に空き家になっている住宅
- その他の住宅…居住者が長期にわたって不在の住宅や取り壊し予定の住宅など
上記のうち、日本で問題となっているのは「その他の住宅」に該当する空き家です。多くの居住者不在の住宅が放置され、特に管理・活用はされていない状態が続いており、前述の資料によるとその数は空き家全体の41.1%にも昇るとされています。
空き家が増加している背景
空き家が増加している背景として、最初に挙げられるのが少子高齢化による人口減少です。近年、日本では核家族化が進んでいます。遺産相続で実家などを相続したものの、居住エリアから離れた所在地であるため、そのままにしている人も多いのではないでしょうか。
加えて、日本では新築住宅が好まれる傾向にあり、前述の経済産業省の資料では「持ち家の取得方法」としては新築が最も多く、全体の30.2%だったと報告されています。
さらには、空き家を相続すると税金が発生することを懸念して相続放棄をしたり、空き家の解体には費用がかかったりすることも、放置されている空き家が増加している理由として挙げられるでしょう。
所有する空き家を放置し続けるリスク
空き家を放置し続けると所有者にいくつかのリスクが発生し、代表的なものとしては以下の通りです。
- 税金の支払い
- 倒壊・放火などの犯罪の発生
- 周辺地域・自治体の損失
税金の支払い
従来、相続した空き家は解体するよりも、そのままにしておいた方が固定資産税・都市計画税の課税額が少なく、税制上のメリットがありました。
しかし、2015年に空きを減らすための「空家等対策の推進に関する特別措置法(※2)」が施行されたことにより、税制上の優遇が受けられなくなる可能性が生まれました。この制度では、空き家が放置され続け、周囲に危険を及ぼす可能性があると行政によって判断されると「特定空き家」に指定され、課税額の優遇処置が取り消されます。
さらに、「特定空き家」に指定された物件を所有しているにも関わらず、所有者が改善のための適切な努力を怠っていると、自治体が独自に空き家を取り壊すことも可能になりました。その場合、解体費用は空き家所有者に請求されるケースもあります。
倒壊・放火などの犯罪の発生
家屋は人が住まなくなると、たちまち老朽化が進んでしまいます。特に、遺産相続などで引き継いだ空き家は、築古の物件や木造建築の物件、古い耐震基準で建てられている物件も多く、地震による倒壊の危険性があります。
さらに、人が住まず、定期的な管理もされないとなると、放火や不法侵入などの犯罪の温床にもなりかねません。
周辺地域・自治体の損失
空き家所有者に直接的には関わりがなかったとしても、前述の犯罪リスクも踏まえると、空き家を放置していると周辺地域の景観・治安悪化に結びつきます。
さらには、放置された空き家が存在し続けることは、その土地の有効活用や周辺エリアの再開発を妨げにもなるでしょう。
本来なら、空き家が店舗や賃貸物件などとして活用できれば、周辺地域に経済効果をもたらしますので、空き家放置は周辺地域にそういった機会の損失に繋がっていると言えるでしょう。