再建築不可物件のトラブル事例について
2022/07/25
不動産取引や相続などで再建築不可物件を取得した方の中には、漠然と「何らかのトラブルに巻き込まれるのではないか」と心配されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方のために、今回は再建築不可物件を所有する際に起こりがちなトラブルの事例を解説します。
隣地との境界の認識の違い
再建築不可物件の多くは、築年数が経過しているため、経年劣化により隣地との境界があいまいになっているケースや、そもそも境界が定められていないケースもあります。
そのため、再建築不可物件を取得した後、隣地所有者との間で敷地境界に関するトラブルが発生することがあります。
隣地の所有者と自分が把握している境界との間に食い違いがある場合は、速やかに「境界明示図」を確認する必要があります。
境界明示図とは、所有者の異議なく土地の境界が確定したことを示す書類で、「筆界特定確認書類」「土地境界確定書類」とも呼ばれます。
境界明示には法的拘束力があるため、所有者と隣地との境界についてトラブルになったときは、境界明示の存在を確認することがトラブル解決の近道となります。
そもそも、不動産取引を行うためには、売主は境界を明示する義務があり、境界線を明確にする杭やプレートを現地に設置することは、不動産取引における「物件引渡義務」の一つとして定められています。
隣地の地主と境界について認識の相違がある場合は、必ず購入した当事者に確認するか、逆に隣地の過去の取引履歴を洗うなどして確認するようにしましょう。
ブロック塀や植栽を境界線として利用するケースもある
ブロック塀や植栽を、隣地との境界を画するための敷居として利用するケースがあります。
特にブロック塀の場合はその傾向が強いです。
境界を決めておかないと、台風や地震でブロック塀が倒れたときに境界が曖昧になり、トラブルになる可能性があります。
ブロック塀の所有権については、設置費用を負担した人に所有権が帰属しますが、共同で設置した場合は、所有権は双方に帰属します。
しかし、所有者が変わり、『誰がいつ境界に敷居を設置したか』が分からなくなった場合、新たに正規の境界線を引くために『ブロック塀を取り壊す費用を誰が負担するのか』。
また、隣地との境界に植栽を使用することでトラブルになるケースもあります。
というのも、第三者が植栽に干渉できるかどうかの扱いは、枝や根の部分によって異なるからです。
例えば、越境している植栽の枝部分は勝手に切り取れませんが、根の部分は第三者が切り取ることができると、民法第233条で規定されています。
隣地との正規の境界線を引くために、民法が定める範囲を超えて植栽に手を加えてしまうと思わぬトラブルが発生しかねません。