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共有不動産で住んでいる人に家賃請求をする方法とは

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共有不動産で住んでいる人に家賃請求をする方法とは

共有不動産で住んでいる人に家賃請求をする方法とは

2022/08/01

不動産を共有するということは、複数の人が一つの不動産を所有することであり、権利関係が複雑になります。

 

では、共有物件に住む人と住まない人がいる場合、どのような権利・義務が発生するのでしょうか。

 

共有者ができること、できないこと


不動産の共有者は、「自分の持分に応じて」不動産を使用・所有する権利を有し、他の共有者が不動産を使用・所有する権利を阻害することはできません。

 

民法では、共有者が単独で行える行為と行えない行為の範囲を定めています。

 

行為の種類

保全行為

各共有者が単独で行うことができる。

 

管理行為

共有者の持分の過半数をもって行うことができる。

 

変更(処分)行為

共有者全員の同意が必要

 

では、これらについてもう少し詳しく見ていきましょう。

 

保全行為


例えば、共有不動産を不法占拠している第三者を立ち退かせることや、修繕しなければ不動産の利用に支障が出る場合に業者に修繕を依頼することなどが挙げられます。

 

管理行為


何が「管理行為」に該当し、何が「管理行為」に該当しないかの線引きはかなり難しく、ケースバイケースとなります。

 

例えば、共有財産を第三者に賃貸しているケースがあります。

 

借地借家法が適用されない(つまり、「賃借人に有利で賃貸人に不利」な状況ではない)。

短期賃貸借の範囲(通常、土地は5年、建物は3年)を超えていないこと。

 

ただし、これらの条件を満たさない場合(賃貸人に不利な契約となる場合)は、「変更(処分)行為」とみなされ、共有者全員の同意が必要となります。

 

変更・処分行為


以下の行為は、「変更(処分)行為」とみなされ、共有者全員の合意が必要となります。

 

法的な処分を行うこと。

所有権喪失の合意、抵当権の設定、共有者が決めた用途の変更、サブリース契約の賃料変更など(一般的な賃料変更は管理行為となる)

 

物理的な変更をすること

土地の盛り土、畑から宅地への変更、土地への建築、建物の建て替え、大規模修繕など物理的な変更を行うこと。

 

不動産の共有者は賃料を受け取る権利があるか 


不動産の共有者は、賃料を受け取る権利があるのでしょうか?

また、その賃料が第三者との賃貸借契約に基づくものである場合はどうなるのでしょうか。

 

不動産を共有で借りている場合、共有者の間で別段の合意がない限り、その賃料は「可分債権」とみなされます。

例えば、2人の家主が半分ずつ共有している場合、10万円の家賃に対してそれぞれ5万円を請求することができます。

 

共有者がその物件に居座っていて家賃を払っていない場合


ABの共有物件にBが居座っていても、共有だから違法ではありません。

また、AはBに退去を求めることはできません(※AはBに共有物件の退去を求める権利はありません)。

 

しかし、これでは先に所有権を取得した者が勝つことになり、公平とは言えません。

 

そこで、Aは、特に合意もなく居座っているBに対し、自分の持分に応じた利用を阻害されたとして、金銭の支払いを求めることができます(不当利得返還請求権)。

 

ただし、AとBが、Bが単独で使用することを合意していた場合には、Aは金銭を請求することはできません。

 

第三者が住んでいて、共有者が家賃を独占している場合


共有者の一人であるAが、Bと共有している土地を第三者であるCに貸している場合を考えてみましょう。

AだけがCに使用を許可し、Bがそれを知らなかったとしても、Cは全く権利のない人ではないので、BはCに対して財産の明渡しを要求することはできません。

 

しかし、Bは「賃料相当額を共有持分で割る」ことによって、AとCの「両方」または「どちらか」に金銭を要求することができます。

 

共有者が無断で第三者に不動産を貸した場合


共有者が自分名義の不動産を所有しているが、賃料を請求できないケースです。

共有者が、特定の人が不動産を占有することを合意している場合、前述のように、ABが共有している不動産をBが占有することを合意している場合、AはBに金銭を請求することができません。

 

被相続人と同居していた相続人が引き続き居住している場合


これは割とよくあるケースですが、親Aと長男Bが同居し、次男Cが別の場所に住んでいる場合、Aの死後、CはBに明け渡し請求や金銭請求ができるでしょうか。

 

親Aと長男Bの間に契約書がなくても、遺産分割が完了するまでは「無償で使用させる合意」があったものと推定されます。

つまり、Aの生前にAとBの間で明確な契約がなかったとしても、『使用貸借(無償使用)』の合意があったものと推定されるのです。

 

ただし、遺産分割協議が成立し、共有者としての地位が確認された後は、上記のように一般共有者と同じ考え方が適用されます。

 

内縁の夫婦の一方が死亡した場合


最高裁判所は、1998年2月26日、内縁の妻を支持する判決を下しました。

 

内縁の夫婦が不動産を居住用または共同事業用に使用していた場合、具体的な合意がなくても、配偶者の一方が他方の死亡後に不動産を単独で使用することに合意していたと考えるのが相当であり、相続人Cの内縁の妻Bに対する明渡請求や金銭請求は認められません。

 

まとめ

 

共有不動産は、各共有者がその持分に応じて使用し利益を得ることができますが、「不動産の保全は各共有者が単独で行わなければならない」、「不動産の管理は持分の過半数で行わなければならない」、「不動産の変更(処分)は全員の合意が必要 などの制約があります。

 

ある共有者が他の共有者の同意を得ずに単独で不動産を所有している場合、他の共有者は不動産の明け渡しを要求することはできませんが、自分の持分に応じた金銭を要求することは可能です。

 

親の家に住んでいる子供が親の死後も住み続けている場合、別居している他の子供は「遺産分割が完了するまで」明け渡しや金銭を要求することができません。

 

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