訳あり物件を売却する際の5つのポイント
2022/09/20
瑕疵を抱えた訳あり物件をスムーズに売却するためには、以下の方法が有効です。
- 瑕疵部分の修繕を行う
- 更地にして土地だけ売却する
- 売却までの期間を開ける
- 売却前に賃貸物件として利用する
- 訳あり物件の買取専門業者・サービスを利用する
①瑕疵部分の修繕を行う
物件が抱える瑕疵はそれだけで売却価格が下がる要因になってしまうため、売却前に修繕・リフォームなどを行い瑕疵を解消するのも選択肢のひとつです。
特に、室内で人が亡くなった心理的瑕疵物件は特殊清掃が必要になるケースも多く、ネガティブな印象を和らげるために徹底的なクリーニングがリフォームが求められる場合もあります。
物理的瑕疵であれば、修繕を行ったあとに専門家にインスペクションを依頼することで、価格設定をより正確に行えます。調査結果を商談時に提示すれば、買主との交渉もスムーズに進むでしょう。
ただし、前述のように修繕費用が嵩みすぎると最終的な売却益が少なくなってしまう可能性もあります。
②更地にして土地だけ売却する
瑕疵の修繕が難しければ、更地にして土地だけ売却するのも効果的です。構造上の問題であるため、瑕疵の解消には建て直しレベルの改修工事が必要な法的瑕疵物件などのケースでは特に有効でしょう。
ただし、心理瑕疵は利用者側のイメージに起因するものですので更地にしたからと言って解消されるとは限りません。後述する瑕疵の告知義務についても消失する訳はない点は把握しておく必要があります。
さらに、物件を解体して土地のみの状態にすると固定資産税が最大6倍になってしまう点にも留意が必要です。
③売却までの期間を開ける
心理的瑕疵を抱えた物件を売却するには、事故や事件が起きてから期間を開けるのも手段のひとつです。何かしらのマイナスのイメージを与える出来事が起こった直後は、買主探しも難航すると予測されますが、時間が経てばそういった印象も緩和されるでしょう。
ただし、売却までの期間は固定資産税・都市計画税などの税金や、物件の維持・管理費などを支払い続けなければなりません。
④売却前に賃貸物件として利用する
瑕疵物件の売却までに、賃貸物件として入居者に貸し出しを行えば、ただ売却するよりも高い金額で売却できる可能性があります。投資物件として収益を得ることで、前述の「売却までの期間を開けると支出が増える」との問題点も解決できます。
⑤訳あり物件の買取専門業者・サービスを利用する
瑕疵の解消が難しい場合などは、通常の不動産会社経由で買い手を探すのは難しいのが実情です。そういった場合は、瑕疵を抱えた訳あり物件の買取を専門的に行っている業者に直接の買取依頼を相談しましょう。
瑕疵物件の買取に特化した業者であれば商談もスムーズに進む可能性が高く、法的な手続きに関してもサポートが受けられる可能性もあります。
訳あり物件を売却する際の注意点
訳あり物件を売却する際には、瑕疵の内容に関して「告知義務」があり、物件に対して「契約不適合責任」が発生することを念頭に置いておきましょう。
瑕疵の告知義務について
瑕疵物件の売買取引を行う際には、買い手探しの際の告知文や契約書などで瑕疵の内容について告知をしなければなりません。「告知事項あり」と申し書きをして瑕疵の内容について記載するのが一般的です。
ただし、前述のように心理的瑕疵は線引きが曖昧であり、物件の取り壊しを行ったとしても告知義務は残るため、専門家のサポートを受けるのがベターでしょう。
物理・法的瑕疵を修繕や改修によって解消する場合、告知義務が発生するのは瑕疵が解消されるまでの間のみです。
契約不適合責任とは
不動産売買では、契約不適合責任によって契約が履行されるまでの間に契約内容に適合しない瑕疵が発覚した場合、売主が責任を取ることが定められています。契約不適合責任は、令和2年の民法改正前までは瑕疵担保責任と呼ばれていて、売主に及ぶ責任の範囲は現在よりも緩いものでした(※2)。
契約が履行した後に瑕疵が発見されたとしても、買主は瑕疵の発見から一年以内であれば売主に損害賠償請求を行えます。物件を売却する際には、瑕疵の内容について正確に把握しておきましょう。