港区の不動産買取業者が教える 再建築不可の物件は売ることができないのか?
2022/05/12
建て替えができない再建築不可物件は、売却することが難しかったり、相場よりも安い売り値で取引することになったりしてしまいます。
今回は再建築不可物件とはどのような不動産のことを指すのか、そして再建築不可物件を有効活用する方法についてご紹介いたします。
相続や譲渡などで思わぬ再建築不可物件を取得した方や、これから取得しようと考えている方はぜひ参考にしてください。
再建築不可物件とは?
まずは、再建築不可物件とはどのような物件のことを指すのか、何を基準として再建築不可物件となるのかをご紹介します。
・再建築不可物件とは?
再建築不可物件とは、今は家が建っていても解体して更地にしてしまった場合、再度建築物を建てることができない不動産のことを指します。
建築基準法の「接道義務」が設けられている都市計画区域と準都市計画域内にあります。
–都市計画区域とは?
都市計画区域とは、都市計画法にもとづいて都道府県知事または国土交通大臣が指定するエリアのことです。都市計画区域は、「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引き区域」に分けられます。
–準都市計画区域内とは?
準都市計画区域内とは、都市計画区域外のエリアであっても、市街化が進行すると見込まれるエリアに対して都道府県が指定する区域のことです。
無秩序な開発や建築を放置することで、将来的に問題が生じると想定されるエリアに対して土地利用の規制を行うことが目的となっています。
・なぜ、再建築不可物件が存在するのか?
そもそも、なぜ建て替えることができない「再建築不可物件」が存在するのでしょうか?それは法律制定が関係しています。
1950年、建築基準法が制定されました。建築基準法とは、国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途に最低基準を定めた法律のことです。建築基準法があることによって、制限がある中で安心・安全に暮らすことができています。
しかし、建築基準法が制定された1950年より前につくられた不動産はこの基準を満たしていない場合があります。それが今「再建築不可物件」として存在しているのです。
・再建築不可物件となる基準
再建築不可物件かどうかは、主に建築基準法第43条で決められている通りです。
–建築基準法第43条
「建築物の敷地は、道路に2m以上接しなければならない。ただし、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りでない。」
一体どういうことなのか、以下より詳しく説明します。
–幅員4m以上の道路に2m以上接していない場合「再建築不可」
建物を建てる敷地には接道義務があり、原則として幅員4m以上の建築基準法道路に2m以上接していなければいけません。なぜなら、火災などの災害時や急病時などに消防車や救急車が入ってきたり非難する経路を確保したりするために必要となるからです。
建築基準法道路とは建築基準法第42条で定められており、下記の通りとなっています。
【建築基準法で定められている「道路」の定義】
- 法42条1項1号道路
道路法による道路。(国道・都道・区道などの公道)
- 法42条1項2号道路
都市計画法や土地区画整理法・旧住宅地造成事業に関する法律などにもとづき認可を受けてつくられたもの。(開発道路)
- 法42条1項3号道路
建築基準法の施行時(1950年以前)または、当該市町村が都市計画区域に指定された時点のどちらか遅い方より前に、すでに幅員4m以上の道として存在するもの。(既存道路)
- 法42条1項4号道路
道路法や都市計画法などの法律による新設または変更の事業計画のある道路で、2年以内に道路をつくる予定がされており、かつ特定行政庁が指定したもの。(計画道路)
- 法42条1項5号道路
土地の所有所が築造する幅員4m以上の道で、申請を受けて特定行政庁がその位置を指定したもの。(位置指定道路)
- 法42条2項道路
建築基準法の施行時(1950年以前)または、当該市町村が都市計画区域に指定された時点のどちらか遅い方より前に、すでに存在する幅員4m未満の道で、すでに建築物が建っており、その他一定の条件をもとに特定行政庁が指定したもの。(みなし道路)
- 法43条1項ただし書きの適用を受けたことがある道
法42条に定める道路に該当しないものの、法43条第1項ただし書の適用を受けたことがある建築物の敷地が接する道のこと。
–土地が道路に接していない場合「再建築不可」
袋地など他人の土地を通路にして入る必要がある不動産は、道路と敷地が2m以上接していないため、再建築不可物件となります。
–地域が市街化調整区域の場合「再建築不可」
接道義務をクリアしていても、不動産が位置する地域が市街化調整区域の場合、再建築不可となるケースがあります。
市街化調整区域とは、都市計画法にもとづいて無秩序な市街化を防止するために指定されたエリアのことです。都市計画法では「市街化を抑制すべき地域」と定義づけられています。そのため、再建築ができなかったり、再建築できたとしても細かな条件がついていたりします。
次回は自分が所有している物件が、再建築不可物件かどうか調べる方法をお伝えします。