港区の不動産買取業者が教える 袋地の不動産は再建築できない?
2022/05/24
袋地の不動産は法的制限があるため、「建て替えたい」と思った場合でも再建築することが難しい物件とされています。また、あらゆるデメリットから、住みづらかったり売却しづらかったりします。
そこで今回は、袋地のメリット・デメリットと再建築できない理由についてご紹介します。
さらに再建築するための方法や売却しやすくなる方法についてもあわせてお伝えしますので、袋地を所有している方はぜひ参考にしてください。
袋地とは
「袋地(ふくろち)」とは、どのような土地を指すのでしょうか?まずは袋地について説明いたします。
・袋地とは?
「袋地」とは、他の土地に囲まれていて自分の敷地からでは道路に出られない土地のことです。「無道路地」や「盲地(めくらじ)」と呼ばれることもあります。
袋地を囲んでいる周りの土地のことを「囲繞地(いにょうち)」と言います。
・準袋地も袋地と同じ扱い
池や沼・河川・海洋などを利用しないと道路などに出られない土地や、土地と公道の間に崖などによる著しい高低差がある土地のことを「準袋地」と言います。準袋地も袋地と同じ扱いになるため、ここではまとめて袋地としてご紹介いたします。
・なぜ袋地が存在するのか?
昔、建築基準法に準じた道路の整備がされないまま、ひとつの大きな土地を分割して売却や譲渡などを行ったことが多くの原因です。分割した内の中央の土地が、道路に接することなく袋地として存在しています。
袋地での通行方法
袋地は周りが他人の土地に囲まれており、道路に接していないため、一見すると「通行不可」のように思えます。そこで、袋地での通行方法についてお伝えします。
・袋地の所有者には囲繞地を通る権利がある
民法では袋地の所有者に対し、このような権利が与えられています。
【民法210条】
1.他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
2.池沼、河川、水路もしくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。
つまり、袋地の所有者は他の土地(囲繞地)を通って道路に出ることが法律的に認められている、ということです。このとき、囲繞地所有者の合意を得る必要はありません。
・囲繞地所有者に通行料を支払わなければいけない
袋地の所有者には「囲繞地通行権」があるため、他の土地を利用して通行することが可能です。しかし、そのためには囲繞地の所有者に通行料を支払う必要があります。条文は下記の通りです。
【民法第212条】
第210条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。
金額は囲繞地所有者との話し合いによって決め、1年ごとにまとめて支払うことが一般的です。通行料を決める際には、地域の囲繞地通行権の通行料相場や近隣の駐車場相場を参考にして算出します。
–通行料を支払わないケース
原則として法律でも定められている通り、囲繞地所有者に通行料を支払う必要があるのですが、例外として支払わないケースがあります。
それは、分筆や共有物分割などによって袋地が発生した場合です。袋地から道路までの囲繞地通行権が発生することを理解した上で袋地をつくった、ということになるため、通行料が発生しません。ただし、話し合いによって通行料を支払う場合もあります。
また、昔から無償で使用している場合も、引き続き無償で通行することができます。この場合、「囲繞地通行権」ではなく「通行地役権」という解釈になり、口頭での合意という既成事実によって成立します。
–囲繞地通行権と通行地役権のちがいとは?
「通行地役権」とは、袋地の所有者が道路へ出るために他人が所有する土地を通行できる権利のことです。一見、「囲繞地通行権」と同じように思えますが、ちがいがあります。
まずは「合意の有無のちがい」です。囲繞地通行権は、囲繞地所有者の合意を得る必要はありませんが、地役通行権は契約や合意が必要です。
さらに、囲繞地通行権は原則として通行料が発生することに対して、地役通行権は契約によって通行料無料にすることもできます。また地役通行権は通行できる範囲や期限も契約によって自由に決めることが可能です。ただし、登記を行う必要があります。
・「通行料を支払ったから」と自由に囲繞地を使えるわけではない
「通行料を支払ったら、囲繞地を好きに使ってもいいのか」というと、そうではありません。下記の通り定められています。
【民法第211条】
通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
つまり、囲繞通行権が適用される範囲は定められており、できる限り囲繞地所有者への損害が少ない場所を通らなければいけない、ということです。
通行できる幅は、一般的に接道義務の広さである「2m」とされています。
次回は袋地のメリット、デメリットについてお伝えします。